私が道院長になったきっかけは、先輩道院長から「道院長になろうと思ったことはないのか。あるならやってみろ。もし後悔することがあっても、やらないで後悔するより、やってから後悔しろ。」と言われ、一か月ほど真剣に悩んだ末に決断しました。
入門したての頃は、古巣道院の先代の道院長に傾倒し「この人のようになりたい」と思っていました。しかし長い歳月を経るうちに、そんなことも忘れて一門下生として過ごしていましたが、自分の決意を二代目の道院長に伝えると、すぐに意をくんでくれ「そうと決めたら早い方がよかろう。」と、県内の先生方にも話を通していただき、本山で新設講習を受け、道院を開くに至りました。
門下生が多過ぎず、少な過ぎずということもあり、なるべく一人一人に目を配り、その人に合うやり方を考えながらやっています。
みんなそれぞれ個性があり、のみ込みの早い人や遅い人、体力差などもありますので、ゆっくりとでも、それぞれに合ったペースで向上をしてもらうことを心掛けています。
その時だけの強い弱いや、上手い下手だけでなく、つまずいてもへこたれないメンタルや協調性を優先して考えています。
特に子供の門下生には、人生に通用するパスポートを取得するつもりで修練に励んでもらっているつもりです。
特に子供たちには、特定の役割を持たせず、誰もが誰かの役に立ち、代わりもできるよう役割を持ち回りで協力して行わせています。強さや上手さのみならず、何に対してもですが、誰しもが主役であり、縁の下の力持ちであり、人の縁で協力し合えていることを自覚できる道院を目指しています。
縁とは親や先輩、その他の誰かから自分へ、そして自分が育んだものを誰かに継いでもらえることで成り立ちます。
少林寺拳法に限らず、仕事や学校、文化や地域でもそんな考えができる子供たちを育て、それを伝えられる大人が活躍できる場所を目指しています。
群馬みどり道院は歴史も浅く、在籍門下生20人ちょっとと、決して他と比べて多くはありませんが、その分個々に目の届いた指導ができます。
道院の雰囲気としては、初めて体験入門に来た子供でも、少年部の拳士に「一緒にやろう」と声を掛けられ、修練終了後には「入門したい」と親に伝える子もいます。
門下生には、親子、兄弟、姉妹入門の拳士や祖父と孫、従兄弟や又従兄弟も在籍し、大きな親族のようになっています。
そのせいかみんな、和気あいあいとやっています。
道院開設から色々な事がありました。
中学校の体育館を借り先生と二人でのスタートで、当初はどう門下生を増やし少林寺拳法に理解を得るか考えました。最初の訪問者は先生の知人のIさんで、人のよいIさんを手放すものかと入門してもらいました。
「かなりしつこかったね」と、今は笑っていますが。
のちに小学生も入り、少人数ながら楽しく笑いがあり、希望が見えました。
その後も人数は増減を繰り返しましたが、近年は子供と保護者の入門もあり人数も増え、子供たちがどんな大人に育つか責任も感じます。
映画の白虎隊のセリフです。「歳月は幼い子供達を凛々しい若者に育てていた」皆でそんな風に子供達を育てていきたいです。